相模経済新聞デンタルQ&A
このページではこれまで相模経済新聞に掲載された「健康Q&A」の内容を載せております。
掲載年月 | 内容 | 掲載年月 | 内容 | ||
2004年 | 1月 | [出血する] | 2005年 | 1月 | [歯ブラシの種類] |
2004年 | 2月 | [ブラッシング] | 2005年 | 2月 | [口の中のチェック] |
2004年 | 2005年 | 3月 | [お口のクリーニング] | ||
2004年 | 4月 | [穴が開いている] | 2005年 | 4月 | [親知らずの抜歯] |
2004年 | 5月 | [直した所が痛い] | 2005年 | 5月 | [治した歯の色が悪い] |
2004年 | 6月 | [赤ちゃんの虫歯対策] | 2005年 | 6月 | [歯の治療が風邪予防] |
2004年 | 7月 | [喫煙と歯との関係] | 2005年 | 7月 | [ホワイトニング] |
2004年 | 8月 | [歯科へのかかり方] | 2005年 | 8月 | [インプラント] |
2004年 | 9月 | [かみ合わせ (1)] | 2005年 | 9月 | [レーザー治療] |
2004年 | 10月 | [かみ合わせ (2)] | 2005年 | 10月 | [知覚過敏] |
2004年 | 11月 | [保険診療と保険外] | 2005年 | 11月 | [顎関節症] |
2004年1月 [出血する]
Q歯を丁寧に磨くのが良いと思い、やっているのですが、歯肉から出血 する所があって、躊躇してしまいそこはあまり磨かないようにしていま す。血が出る所はどうしたら良いでしょうか。(40代男性)
A歯肉からの出血は、歯肉炎や、歯周炎の特徴の一つです。歯肉炎と いうのは炎症が歯肉に留まっている状況で使われる言葉ですが、歯周 炎というのは炎症が歯肉から、内部の骨に波及している状態である場 合に使われます。妊娠、喫煙、糖尿、てんかんの薬剤等で、炎症が強 くなる事が知られていますが、そもそもの原因は歯と、歯肉の境目に 汚れが付いてそこに口腔内の細菌が住み着いてしまい細菌の出す毒 素に反応して炎症が起きるものです。つまり原因となっている汚れを取 ってあげれば細菌の数が減って結果として歯肉の炎症が治まり、出血 も減って来ますので、出血の有る所はより時間をかけて、丁寧に磨く事で出血が減って来ま す。磨く時に歯肉をあまり意識しないで、歯の表面を綺麗にする意識であ る事が大切なポイントです。
2004年 2月 [ブラッシング]
Q歯を磨いてはいるのですが、歯並びがあまり良くないためか、前歯の歯が重なっている所が虫歯になってしまいます。重なっている所はどうやって磨くのでしょうか? (20代女性)
A虫歯の出来やすい所は
(1)歯と歯の間
(2)歯と歯肉の境目
(3)噛み合せの溝
の3ヶ所です。そもそも歯はくちびるや、舌、ほっぺた、が自然な動きをする事で、特に磨かなくても長期に汚れたままにはなりにくいのですが、この3ヶ所は歯ブラシを使わなければ汚れが取れにくいので、かなり意識して磨いていただく必要が有ります。特に歯並びが悪い方には歯間ブラシや、デンタルフロスといった清掃道具を併用される事をお勧めいたします。歯間ブラシはある程度歯と歯の間に隙間が有る場所に使い、接する両面を片面ずつ磨きます。サイズが有りますので、隙間の幅に応じて選んで下さい。デンタルフロスは狭い隙間に入り込んだ汚れを綺麗に取る時に重宝です。歯肉を傷つけないように慎重に歯と歯の間に入れて、やはり接する両面をこすり上げるようにして磨きます。歯と歯肉の境目を綺麗にする事は歯周炎の予防にもなりますので、多くの方にフロスや歯間ブラシの使用をお勧めしたいところです。
2004年 4月 [穴が開いている]
Q歯と、歯の間に虫歯が出来て、穴が開いています。前歯なので見た目も悪いので治さないといけないと思っていますが、被せられるのは嫌なのですが、詰め物で上手く治るものでしょうか?(20代女性)
A今から20年ほど前にレジンと呼ばれる合成樹脂にセラミックや、ガラスを混ぜて歯の色を反射させて歯に接着させる材料が開発された事で虫歯の治療法が劇的に変わりました。それまでは金属や、陶材を型を取って入れるしか無かった治療法が、悪い所だけを削ってそこにレジンを詰める事で歯と色が変わらないで治すことが可能になりました。又、その接着力や自然な色は毎年のように進歩しましたので、一時は型を取る事は今後無くなるのではないだろうか、とさえ言われたものです。レジンのおかげで麻酔の回数が減り、虫歯の進行に対する生体の防御機能を生かした治療が出来るようになっています。しかしながら、そもそも合成樹脂をベースにしているものなので、固まる時に重合収縮と呼ばれる体積の減少があって、それが原因であまり大きな虫歯に詰めると剥がれてしまったり、隙間が出来て唾液が入り込み褐色に変色したり、防湿がしにくい事から取れると言う事が有ります。そのため初期の小さな虫歯でしたら、保険適応の詰め物で十分治すことが可能だと思って下さい。
2004年 5月 [直した所が痛い]
Q私は昔から歯が悪く虫歯が多い方でしたので、歯医者で直してもらっては いるのですが、一度直しても又おなじ所が悪くなって痛みが出る事が有る のはなぜでしょうか?(30代男性)
A外科は基本的に悪い所を取る事で、治って行きますが、直しているのは患者さん自身 です。歯科治療が難しいのは、悪い所を取ってその代わりに生態と調和した物質で補 う必要が有る点です。つまり、取り除かなくてはいけない悪い部分がどこまでである かを診断して除去してその後に、生態に調和する代替物質が機能するようになる所ま で要求されます。原始的な歯科治療においては悪くなった歯は抜くようにいたしま す。これは生態に調和する材料で、機能の回復が出来ないからです。現代的な歯科治療では
(1)虫歯がエナメル質、象牙質までなのか
(2)神経まで進んでいるかどうか
(3)歯の根を超えて歯周組織に進んでいるかどうか
を診査いたします。その結果として 取り除かなくてはいけない部分を最小限にして、生態に調和する代替物質が機能出来 るようにして行きます。治しても再び悪くなる場合には、材質や適合が本人に合わな いで調和していないか、咬み合せに問題があってその歯が、強くぶつかりすぎてい て、揺さぶられているといった機能上の問題が考えられます。ご自分では普段の食生 活の中で間食を少なくして、歯が汚れたままの状態を放置しない事が大切です。
2004年 6月 [赤ちゃんの虫歯対策]
Q私たち夫婦は二人とも虫歯が多く、歯医者で苦労しましたので、生まれた子供には何とか虫歯にならないように気を配ってあげたいと思っています。子供の時に出来る注意は何でしょうか?(30代女性)
A虫歯になる原因は複合的に多くの要素がからんでいると考えられていますが、従来から言われている甘いものの摂取を制限すること、歯ブラシで良く歯の表面を磨く事に加えて、近年注目されているのは、親の口の中を綺麗にしておく事と、特に3歳までは間食を避けると言った点です。 生まれてきた赤ちゃんの口の中には、細菌がいない極めて清潔な状態になっているのですが、息を吸ったり、オッパイ飲んだり、指しゃぶりしているうち細菌が入り込み、大体1歳半から3歳ぐらいまでの間に、口の中の主役になる細菌が決まると考えられています。ここで大切なのは特にこの時期に虫歯を作る細菌を主役にしない事です。お母さんが赤ちゃんに口移しで食事をあげたり、熱い食べ物を、フーフーしながら、赤ちゃんのお口に運んでいたり、大人が使ったお箸で赤ちゃんに食べさせているうちに知らず知らずのうちに、お母さんの細菌が赤ちゃんの口の中に移ってしまいますので、お母さんが一生懸命歯みがきして、口の中を清潔にしておく事が大切です。又、甘味は強烈ですから、一度覚えてしまうとお菓子を何時も欲しがるようになってしまいますので、お菓子やケーキといった物が目に触れず、手の届かない所に置いておくように気を配ってあげて下さい。
2004年 7月 [喫煙と歯との関係]
Q私は10代の時からタバコを吸っているのですが、そのせいか歯茎が黒ずんでいるのが気になっています。これは喫煙に原因があるのでしょうか?(20台 女性)
A歯茎と言われていますが、正確には歯に近い周囲の歯肉の事かと思われますので歯の周りの歯肉が黒くなる原因についてお答えします。 黒ずんでしまう原因は幾つか考えられ、その中に喫煙もあります。 喫煙によるタールは肺の中に入り込み酸素と二酸化炭素の交換をしているスポンジのような肺胞の小さな穴を塞いでしまい、運動能力の低下や発癌の原因になる事は良く知られている通りですが、その他タバコを1本吸うと毛細血管が20分間収縮することが知られています。そのため血のめぐりが悪くなり血行不良になりますから、特に目の網膜に悪い事が分かっています。 同様に歯肉や舌の表層の毛細血管を収縮させて細菌に対する抵抗力を低下させ、乾燥してしまう事も加わって長い間に健康的なピンク色で張りのある歯肉からくすんだ色に変わってしまい、抵抗力の低下から歯周炎の大きな原因になります。 ただ、喫煙だけでなく詰めた金属のイオンが溶け出したり、診療を受けている間に削った粉が歯肉に入り込んだり、単に歯肉のごく表面を毛細血管が通っている場合も有りますのでそのような時には薄く表層を切ることや、詰め物を交換することで綺麗になりますので、歯科医院で相談されると良いと思います。
2004年 8月 [歯科へのかかり方]
Q初めて歯科医にかかる時に良い歯科医と悪い歯科医とを見分ける基準があったら 教えて下さい(30代 女性)
A大変興味のある御質問ですので、お答えしてみます。
患者さんから見た良い歯科医と、歯科医の考える患者さんにとって良い歯科医の違い を研究した報告が有ります。イギリスにおける調査ですが、患者さんから見て大切な のは、①内容の説明②消毒、衛生③歯科医の技術④親切な対応⑤専門知識、となって いるのに対して、歯科医自身は①痛みのない治療②親しみやすいスタッフ③急患への 対応④治療費用が安い⑤設備が良い、を大切なポイントであるとあげています。又、 同じ医療を受けても患者さんの満足度は年齢、性別、学歴、収入によって違っている と報告されています。 現実的にあまりにも遠い所に通院することは難しいことですし、そちらの医院では内 容の説明、消毒、衛生、歯科医の技術、親切な対応、専門知識はどうですかと、長々 と電話で聞くのは嫌がられると思いますが、あらかじめ診療の事で質問があると電話 で連絡され、その先生の時間の都合を聞いて、それに合わせて再度連絡して直接話を されてはどうでしょうか?良い歯科医は患者さんが心から喜んでくれることを望んで いるものです。納得できなければ、別の歯科医にセカンドオピニオンが欲しいと、同 様に連絡されてはいかがでしょうか?又、人間がやることですから、その上で診療を 受けるのであれば100点を望まないで、70点80点で満足する事も必要だと思い ます。
2004年 9月 [かみ合わせ (1)]
Q最近どこで咬んだら良いのか分からなくなっていて、顎が疲れるし、関節で音もするのですがどうすれば治るのでしょうか(35歳女性)
A咬み合せについては長く論争の絶えない所です。現段階では大学病院を含めてもごく僅かな歯科医しか本格的に取り組んでいないのが現状ですが、インプラントや歯周病を含めてあらゆる治療の出発点でもあり、ゴールでもある咬み合せについてはこれからその大切さが一層クローズアップされると思われます。元々は30年ぐらい前から歯がなくなった人に入れ歯を作るときにどの高さにしたら良いのか、どんな咬み合せにしたら良いのかを研究して確立されて来たものです。しかし当時はどうやって痛みが無く虫歯が治療できるか、上手に歯を抜くかに関心が強く、後回しにされて来た領域でもあります。私の歯科医院にも咬み合せに問題を抱えた方が多くいらっしゃいます。今まで何が原因か分からず、精神的な問題だとか、年齢のせいだと片付けられてしまい悩まれていた方が、咬み合せを治して行く事で姿勢が良くなり、見た目も美しく、しっかり咬めて、よく眠れるようになったと喜んでいただいています。御自分で異常を判断するには、背もたれの無い椅子にきちんと座って姿勢よく上半身の力を抜いて何度もゆっくりと顎を上下に動かして、(1)常に同じ位置で咬めているか、(2)どこか特定の歯に当たってその歯に誘導されて下の顎がずれながら咬み込んでいないかを確認して下さい。
次回はその治療法です。
2004年 10月 [かみ合わせ (2)]
Q最近どこで咬んだら良いのか分からなくなっていて、顎が疲れるし、関節で音もするのですがどうすれば治るのでしょうか(35歳女性)
A高齢化に伴いクオリティーオブライフを高めて行く流れの中で、インプラントや歯周病の大切さが一層高まっていますので、精神状態や全身に大きな影響の有る咬み合せの大切さは年々認識されているところです。咬み合せに問題がある場合には、咬む位置が定まらないで、顎の筋肉が常に緊張している状態に置かれています。下の顎が前に出ると頭は後ろに倒れ、後ろに下がると前に倒れます。重たい頭を体の中心にバランス良く安定して置いておくためには、前後左右の顎の筋肉が生理的に良好な状態で下の顎を動かしている事が大切です。専門的な治療では左右の顎の筋肉に筋電図を付け、リラックスした状態で緊張が無い事を確認した後、咬み込んだ状態で審美的にバランスの取れた位置になるようにして行きます。正しい位置が特定できたら、その位置になるようにスプリントや、オルソーシスと呼ばれる器具を歯の上に付けてしっかり咬めているかを確認して行きその後時期を見て、バランスの取れたその位置で咬めるように歯の表面を金属や、ポーセレンに置き換えて行きます。顎の関節の中には関節円盤と呼ばれる軟骨が有りますが、長期に渡って咬み合せがずれていると、傷ついてしまい、口を開けたり閉じたりで円盤が動く時にその場所に引っかかって音がしたりします。治療によりそれも自然と回復して良くなって行きます。 関節や、咬み合せの改善はとてもデリケートな診療です。又まだまだこれからの分野でもあります。治してもらう場合には全面的な信頼のおける歯科医院で診療を受けて下さい。
2004年 11月 [保険診療と保険外]
Q大して変わらないような治療なのに保険の効く治療と保険の利かない治療があるのはなぜでしょうか。虫歯の場所によっても違うのでしょうか(男性 年齢不明)
A虫歯の治療を3つに分けると①診断②悪いところの除去③その部分を補い機能の回復、になります。①の部分については保険診療を扱っている医療機関では保険診療で行う事になっています。どの歯のどの部分に虫歯が有って、どんな進行状況に有るのか、神経を取る或いは、根の中の消毒をする、どんな薬剤を使うと言った診断の部分です。レントゲンもそれに含まれます。②は③においてどんな材質を使うかで変わりますが、制度上は③に含まれています。③の部分において機能を回復する材質によって保険適応の材質とそうでない物に分かれます。本来口の中で生態の一部として長期に機能するためには人体に悪影響を及ぼさない材質でなくてはいけないのは当然なのですが、そうは言っても金は高価ですしポーセレン(陶材)は加工するのにかなりの手間がかかります。そのため保険制度の歴史の中で金に別の金属を多く混ぜたものや、ポーセレンの代わりに白い強化プラスチックを保険適用にしてきた歴史が有ります。また乳歯は生え変わるのでもったいないと言う理由から金の入った合金は保険適用になっていませんし、強化プラッスチックも磨り減ってしまい奥歯には保険適用出来ません。保険制度は2年ごとに大きな変更を繰り返されて来ましたので、とても複雑になり、我々でも全部を把握出来ないほどですが、患者さんは保険制度がある事で歯科治療を安くて身近に受ける事が出来るようになっています。
2005年 1月 [歯ブラシの種類]
Q歯ブラシの種類に「かたい」、「ふつう」、「やわらかい」とありますが、歯や 歯ぐきのためにも、自分に合ったものにしたいと思っています。選ぶ基準みたいなものはありますか。(20代 男性)
A歯は御存知のようにとても硬い組織です。一方それに対して歯茎、正確には歯肉は、柔らかい組織です。歯と歯肉は表面の硬さが極端に違っています。歯ブラシを選ぶ難しさはここにあります。 台所で洗い物をする時を考えて下さい。硬い食器に食べ物がこびりついている場合と、柔らかい果物、例えば桃の表面を洗う場合、使うブラシは違いますよね。硬い食器の汚れは、たわしのような硬いブラシを使って、しつこく何度も同じ所をこすって汚れを落としますし、柔らかい桃は、手で洗ったり、柔らかいスポンジで表面を傷つけないように気を配って、水を多く使って汚れを水洗いで落とします。歯や、歯肉も実は同じです。硬い歯の表面は硬いブラシで何度も同じ所をしつこくこすって汚れを落として下さい。歯肉を健康で綺麗にするには、柔らかいブラシをポケットと言われる歯と歯肉の境目に丁寧にそうっと入れて、水で良くゆすいで水洗いで落とすように使うのが正解です。
2005年 2月 [口の中のチェック]
Q歯の健診を定期的にやる事の大切さはわかりますが、仕事などでなかなか時間が 取れません。自宅にいながらできるチェック方法ってありますか(40代 男性)
A虫歯の出来る原因は口の中が不潔になり、そこに口の中の細菌が繁殖して出来る事が分かっています。そのため虫歯や歯周病の予防には、何時も自分の口の中を意識して清潔にする習慣的な努力が必要になります。ほとんどの方が歯ブラシをされているのですが、なんとなくやって自分の感覚で判断している方が一般的です。歯科医院では染め出し液で、口の中がどの程度綺麗になっているのかを判定しています。歯ブラシや、フロスを使った後に染め出し液でチェックしてみると驚くほど汚れがまだ残っている事が分かります。染め出し液は食べかすや、そこに集まっている細菌の蛋白質を赤く染めるものです。薬局、インターネットで市販されていますし、歯科医院でも置いて有る所が有りますので、是非お聞きになってお使いになって下さい。
2005年 3月 [お口のクリーニング]
Q毎朝歯をみがくと出血がひどく悩んでいます。口の中もネバネバしていて、何か良い対処法を教えて下さい(58歳 会社員)
A口の中がネバネバするのは歯の表面に細菌がこびりついて、バイオフィルムと呼ばれるグループを作り、そこに集団で住み着いてしまっている事が原因です。又、歯ぐきからの出血はそれらの細菌と御自分の体が戦っている証拠です。歯をみがいていない人はまずいらっしゃらないのですが、毎日の歯ブラシにかける時間を時計で測ってみると驚くほど短いものです。きちんと丁寧に1本1本を磨こうとすると、通常15分以上かかります。時間をかけてみがいて行く事で、出血が減りネバネバした感じからすっきりした感じに変わって行きます。染め出し液を使ってチェックするのはとても良い事ですし、フロスや、歯間ブラシの併用も効果があります。又歯科医院で歯石の除去や、レントゲンを含めた歯肉の検査をお願いされてはいかがでしょうか。口の中が汚れたままでいると、肺炎等全身に悪い影響もあります。一度はプロによるクリーニングを受けられる事をお勧めいたします。
2005年 4月 [親知らずの抜歯]
Q特に痛みがないのですが、虫歯治療でレントゲンを撮ったところ、親知らずを抜かなければならないといわれました。親知らずはなぜぬかなくてはならないのですか?(40代会社員)
A親知らずは一番奥で、成人した頃最後に生えてくる歯です。生えてくるスペースが狭かったり、頬っぺた、喉の奥と言ったよく動く粘膜に近いため、いったん細菌によって炎症が起きると腫れが広がり、強い痛みが出てしまう事が多い歯です。又、汚れがたまって虫歯が進行したり、スペースがない事で歯並びが悪くなったり、一つ前の歯を巻き込んで一緒に細菌感染を起こす事もあるのです。ただし、親知らずだから抜かなくてはいけないと言う事はありません。親知らずが有る事で、その前の歯とブリッジにすることができたり、入れ歯のバネをかける事も出来るので、そんな時はとても大切な歯になります。又、上下に親知らずが有ってしっかり咬みあっている場合にも抜く必要は有りません。それらを総合的に考えて、メリットがなく、将来周囲に悪影響を与える可能性が高い場合には抜歯を勧めるのが一般的です。
2005年 5月 [治した歯の色が悪い]
Q前歯に虫歯ができ、2つの歯科医院に治療に行ったのですが、後ろから見える黒い部分を治してくれません。そのせいで前から見ても黒ずんで見えます。このまま進行しないのでしょうか?なぜきちんと虫歯を取ってくれないのでしょうか?(20代 女性)
A小さな虫歯に歯と同じ色の詰め物をする材料は元々日本で開発され、この分野での研究は世界で一番進んでいると思いますが、次の事が考えられると思います。歯肉に接する所に虫歯が出来ている場合には、その部分を削っていると、歯肉から出血して非常に止まりにくい患者さんがいらっしゃいます。原因はいわゆる歯肉炎なのですが、そのまま詰め物をしてしまうと、血液が詰め物に入り込み、固まったあとでは暗く見えてしまう事が有ります。これは乾燥した時のごく僅かな出血でもそうなる事が有りますので、歯科医がその時に気がつかなかった可能性が有ります。治療を受けられた歯科医に正直に話されてはいかがでしょうか?又、やり直しても、出血して来ると綺麗に治すのが難しいので、ご自分では普段からブラッシングをされて出血が無いか確認してみて下さい。
2005年 6月 [歯の治療が風邪予防]
Q歯を清潔に保つことは風邪予防になると利いたのですが、本当ですか?(30代主婦)
A細菌が口の中に住み込んでいるのは、常に生活環境の中で私たち人間が生きて行く上での耐性を獲得しつづける事に有ると考えられます。
予防注射のワクチンのように考えると分かりやすいと思います。
しかしながら、あまりにも口の中の環境が悪いと、それが原因で肺炎を起こす事が知られています。高齢者が亡くなる時には肺炎になって亡くなられる方が多いのですが、アメリカバッファロー大学の報告では、49人の高齢者のうちで肺炎を起こした14人の患者さんの内8人の患者さんの細菌は、口の中の細菌のDNAと一致したと報告しています。私自身の事ですが、過去25年以上病院に患者として行った事は、ほとんどありません。日常で手を洗い、歯を磨いて、喉のうがいをする、と言った当たり前の事が御自分の健康管理にとても大切です。
2005年 7月 [ホワイトニング]
Q歯を白くするホワイトニングっていうのは大丈夫なんでしょうか?(25歳女性)
A神経が無い場合に歯の裏側から、漂白剤で歯を白くする事が出来ます。
漂白は保険適応の治療ですが、残念ながら時間が経つとだんだん後戻りして元の色に近くなってしまう場合がありますが、一度やってみる価値はあると思います。
ホワイトニングと言われている治療はここ最近10年ぐらいのもので、歯の表面に高濃度の薬剤を付けて表面から白くして行く技術を言っています。保険の適応になっていませんし、後戻りも有ります。又、現在日本の医療機関では薬事と言われている決まりから患者さんに使える薬品が限られており、日本で使える薬剤では今ひとつ白くなりにくい事が多いようです。白くしようとおもうあまり、強い薬品を使うと、歯の表面が弱くなって虫歯になりやすいとも言われていましたが、一部の歯科医院では海外の製品を独自に輸入して研究して使っている所もあるようです。ホワイトニングでは有りませんが、歯の表面に合成樹脂の白い詰め物を薄く貼り付けて白く見せる事も出来ます。これだと御自分の歯を削る事がありませんし、かなり長く使えます。これからの治療ですので、メリットだけでなく、ディメリットの説明もしてくれる歯科医院を選択して下さい。
2005年 8月 [インプラント]
Q前歯が虫歯になり、悪化しております。以前神経を抜いたこともあり、抜かなければならないのですが、義歯を使うことで話がつきました。担当医師からはインプラントを進められていますが、高額治療のため少し躊躇しています。技術の進歩でいわゆる差し歯では治せないのでしょうか。(28歳男性)
A差し歯と言うのはその言葉通り、根に作った歯を差して使う物です。つまり見えている部分の歯が無くなっていても、その歯の根は残っていないと作る事が出来ません。抜いてしまうと根が有りませんので、両サイドの歯を削ったブリッジになります。両サイドの歯が虫歯の無い綺麗な状態では、もったいない事ですので、取り外しの義歯(部分入れ歯)も選択肢になって来ます。近代的なインプラントは予後がとても良く、自分の歯とほぼ同じ感覚で使えますので、お勧めしたいところです。しかしながら、一般的に抜いてから半年程度の期間をおく必要が有りますし、骨が十分に無い場合には人工的に骨を作るといった事が必要になり、高度な技術、経験が要求されますので、担当医師と十分な信頼関係がある場合でないと、簡単に考えてはいけない治療法です。また、そんな先生は、なんとか貴方の大切な歯を抜かないで治せないかを考えてくれるものです。現在相当に虫歯が進んだ状態でも、根を残していわゆる差し歯で綺麗に治す事が出来ますので、まずはどうしても抜かなくてはならないのかについて、別の歯科医の意見を含めて納得される事が最初に必要と思います。
2005年 9月 [レーザー治療]
Q痛みのないレーザー治療というものはなぜ、あまり普及していないのでしょうか。治療に痛みを伴うのは避けたいというのが、一般的な患者の認識だと思いますが・・・・デメリットはなにかありますか?(47歳 男性 部品メーカー社長)
A私が歯科大学の学生だったのは20年以上も前の事なのですが、その当時虫歯の部分だけを溶かす薬液を歯に噴き付けて、悪いところだけを痛み無く治す薬品と治療装置が日本で開発されていました。しかしながら30分以上の時間がかかり、あまりにも非効率なために話題にはなりましたが、実際にはほとんど使われずに市場から消えてしまいました。10年ぐらい前にも北欧の製品で同様の物がマスコミを賑わしましたが、日本では薬事すら通らず、現在治療で使っている歯科医はほとんど居ないと思います。歯を削るレーザーもそれに似ています。歯科医からすれば、削れば1~2分の処置にその10倍以上も時間がかかって挙句に保険適応にならないで、機械は恐ろしく高価。診療体系を特化しないと、現実問題として患者さんのニーズが無いというところです。レーザーは歯肉、いわゆる軟組織に対して従来の電気メスよりもかなりメリットがある段階にありますが、それでも機械は大きいですし、価格は30倍ぐらいしているのが現実ですから、普及には時間がかかっています。
2005年 10月 [知覚過敏]
Q数年前から知覚過敏で歯が痛みます。専用歯磨き粉を使えば一時的に良くなるのですが、普通のものにすると元に戻ってしまいます。根本的に直す方法はないのでしょうか?やはり歯医者に行かなければだめですか?(40代、主婦)
A結論から申し上げると、なんらかの処置を歯科医院でされた方が良いと思います。
知覚過敏は何もしない時に痛む訳ではないけれども、冷たいものを召し上がった時や、歯ブラシの毛先が歯に当たった時に、ピリッとした刺すような痛みを感じる状態を言います。色々な原因が有るのですが、多くは噛みあわせが関係していて、歯そのものは硬くて虫歯にはなりにくく、過去にあまり歯科医院に虫歯で通った事が無いような方がなっている場合が意外に多く有ります。知覚過敏の歯を良く見てみると歯茎のつけね辺りがしみていて、その部分に何回か専用の薬剤を塗ったり、詰め物を薄く接着させる事で刺激を和らげ、確実に症状が治ります。又、ご本人は知覚過敏と思われていたのが、実は虫歯が進行していて同様の症状が出ている場合や、歯周病が原因で起こっている場合も有りますので、それらの検査もかねて受診された方が良いと思います。知覚過敏を根本的に治す方法としての噛み合わせの改善は難しい面も有るのですが、薬剤の塗布や、詰め物をする事はごく一般的な歯科治療ですから、医院を選ぶことなくやってもらえる事だと思います。
2005年 11月 [顎関節症]
Q付き合っている彼女が顎ががくがくいっており、気になります。顎関節症というものでしょうか?彼女は歯医者に行こうとしませんが、放っておくとどのようなことになりますか。あと、彼女に歯医者に行かせるうまい方法はありませんか?(大学生 21歳)
A顎関節症と言えると思います。自然と治る場合も有りますが、口が開かなくなったり、手や、足の先がしびれたり、肩が凝る等さまざまな症状が出ます。ひどい場合には真っ直ぐに立てなって、日常生活を送れなくなるような大きな支障が出る場合すらあります。歌手の森高千里さんが自分のコンサートをキャンセルされた事が有名です。残念な事ですが、噛み合わせについて歯科の専門分野であるにもかかわらず、多くの歯科医が自信を持っていないのが現状です。30年ほど前に現岡山大学名誉教授の山下敦先生が提唱した理論は、保険にも導入されており臨床的な結果も良いもので、世界的にもアメリカで歯科医の卒業後の研修として行われている素晴らしいものですが、広告の規制や、皆保険、出来高払いといった制度上の理由から日本中では後回しにされて来ました。長期間かけて関節の円盤を少しずつ治して行く必要があります。このコーナーで以前のご質問にもありましたので、拙歯科医院ホームページの中に治療法等の説明が有りますので良かったらお読みになって下さい。後半のお答えはとても難しいのですが、指輪をプレゼントしてその中に貴方が彼女を大切に思っているお手紙と、歯科医院の招待状を入れておいたらいかがでしょうか。