歯の痛みについて
歯が痛いというのはとてもうっとうしい事で、今すぐどうにかして欲しいと思うものです。多くの患者さんが歯が痛いという事を訴えて来院されます。現在の医療技術を用いれば殆ど痛みを感じることなく治療していく事が可能です。しかしながら、麻酔薬を使うのは最小限にした方がいいのも事実です。麻酔薬は毎日世界中で膨大に使用されているもので、世界で最も厳しい日本の厚生省認可を受けていますが、薬剤で有る事には変わりありません。そのため麻酔しなくてもあまり痛みを感じることなく治療できそうな場合ではしないのが一般的です。同じ治療でも人によって、また、その日のその歯の状態によって感じる痛みには大きな違いがありますので、治療中に痛みが強ければ、無理に我慢せず、左手を上げるなどして歯科医に合図してください。
歯の痛みには
ズキズキする
ジーンとする
ビーンと痛みが走る
触ると痛い
噛むと痛い
疼く
重苦しい
しめつけられるような
針で突くような
ピリピリする
むずむずする
など、様々な痛みがあります。
歯科医に痛みを訴える時には、どの部分が、いつから、どんな時、どの程度痛むのかを できるだけ具体的に伝えていただくと治療もやりやすく、患者さまに最も適した治療法を 決定する事が出来ます。
(例)
「2週間前から、何もしなければ痛くないが冷たいものがしみて気になっていました。昨日からは痛み出したので痛み止めを2回、朝と晩に飲みましたが今朝からはとても痛く薬が効かなくなりました。痛いのは左の下、奥から2番目か3番目あたりです。」
こんなふうに伝えていただくと大変わかりやすいのです。この段階で概ね治療法の選択が出来ます。ただ「歯が痛いから来ました。」と言われるのとは大違いです。具体的に事実をお伝え下さい。
むらせ歯科では初めから診療の椅子にはお通ししません。短い時間ですが初めに院長が同じ目線で面談いたします。診療が終わった後も同様にしています。わずかな時間ですが、その方が患者さんの心理的な負担がずっと少ないからです。
治療の回数について
患者さまの中には長く放置しておいたご自分の歯を全部すぐに治して欲しいとおっしゃる方がいらっしゃいます。それは不可能な事ではありませんがとてもやりにくいことでもあります。
お口の中はとても敏感ですので、患者さまに一番適した方法を探りながら診療していきます。一本ずつ治療の経過を見ながら診療を進めていったほうが結果的に早くできて、 具合もよいことが多いのです。
ただ、患者さまの中にはとても遠方から来られる方や、近々引越しされる方、仕事の都合で来れる日にちが少ない方等事情が有りますので、可能な限り対応させていただいています。
治療の方法 ~ 歯ぐきについて
歯ぐき
健康な状態
骨が吸収されている状態
・歯ぐきが腫れ上がり出血する
・歯がぐらぐらする
歯ぐきの治療法
・歯石がついている
・ぐらぐらして出血する
・歯ぐきが腫れている
・歯石をとる
・歯ブラシを徹底する
→出血が減ってくる
・歯石をとる
・歯ぐきに消毒薬抗生物質を入れる
→歯ぐきがひきしまり歯がしっかりしてくる
Ⅰ.初期のもの
定期的に歯石をとり、
ブラッシングに気をつける
Ⅱ.中期のもの
左右の歯がしっかりしていればつなげる。
簡単な手術で歯ぐきを開いて表面をきれいにそうはする。
Ⅲ.後期のもの
歯の歯冠部分を切断し、残った根の上に小さく金属をかぶせ、その上に義歯(入れ歯)を入れる
Ⅳ.末期のもの
まわりの歯に対しても、顎の骨に対しても良くないので抜く
現在はGTRと呼ばれる骨の再生が出来るようになりました。夢のような話ですが、実際に失われた骨を再び作り、動いている歯をしっかりとさせる事が出来ます。
(残念ながら技術的にとても高度なので、確実な信頼関係が作れている患者さんにしかやりません。)
また、そこまでやらなくても全体的にかなりぐらぐらな状態が徹底的なブラッシング、かみ合わせの調整、クリーニングと、薬剤の併用で長期に渡ってなんとか歯を抜かないで保存する事がかなり可能になりました。
歯が無くなる事は本当に大変です。物が食べれないのですから。
こんな悲しい事は無いと思います。
むらせ歯科では、遠くは伊豆や、静岡、三浦半島、埼玉県からも患者様が来られます。多くは元々近くにお住まいだった方が引っ越された場合です。真剣な患者さんに対して、院長も全ての治療方針を検討して、どうしたら長期に渡って良い状態を保てるのか全力で診療に取り組んでいます。
ちなみにインプラントはその全ての試みをしてから取り組むべき方法です。安易に歯を抜いてはいけないと考えています。またそうするとインプラントの治療成績もとても良くなります。
治療の方法 ~ 虫歯について
虫歯のない状態
虫歯の進行について
C1
症状がない。
表面が白濁または黒く変色する。
初期のもの..表面のみ白濁か黒くなる
C2
ごく小さな穴があくわずかに象牙質まで入り込んでいる。冷たいものがしみる。
穴のあいているもの..たまにしみるときがある
C3
穴があいている。
ものが詰まるようになる。
ズキズキ痛んだり、熱いもの冷たいものがしみる。
噛んだ時、痛みが出るようになる。
C3
穴があく。
ずきずき痛む時がある。
冷たいものがしみる。
神経が小さく逃げるように後退し虫歯の細菌が神経に達しにくくなる。
C4
歯がかける、大きな穴があく。
穴に食べ物が入ると圧迫して痛む。
噛むとひびく。
虫歯の治療法
初期
C1
症状:なし。
予防の薬を塗る。
中期
C2
小さく削って透明なつめものをする。
症状:
しみる時がある。
金属にする
C3 Ⅰ.
症状:大きく穴が開いている。
ひどく痛んだ事がある。
神経を取ってつめものをする
後期
C3 Ⅱ.A
症状:歯がぼろぼろになっている。
膿
完全に消毒する
C3 Ⅱ.B
根に永久的な薬をつめる。
C3 Ⅱ.C
歯を丈夫にするために金属の芯を入れる。
C3 Ⅱ.D
かぶせる。
末期
C4
症状:長期間放置していた。
歯が割れている。
細菌が入り前後の歯に対しても不潔になるので抜く。
治療の方法 ~ ブリッヂ、義歯について
ブリッジ
義歯
ブリッジは取り外ししなくてよいため、患者さまの使い心地は良好です。
しかし現在残っている歯を削らなくてはいけませんし(だいたい悪くなっている事が多いのですが)、残っている歯の負担がふえるので、しっかりした場合でないといけない点、製作するのに時間がかかる点がデメリットとしてあります。
義歯は顎の粘膜の上にのせて使うもので、現在残っている歯をほとんど削らなくてすむ、製作がわりと早くできる等の利点がありますが、一方で毎日取り外さなくてはいけない、固いものや噛み切りにくいもの(するめ、たくあん等)は顎の状態が良くないと義歯が動くので、食べにくい等の欠点があります。
一般的にはブリッジで製作できる場合はブリッジで、ブリッジでは長持ちしない場合には義歯にするというのが一般的です。
治療の方法 ~ インプラントについて
インプラントとは、歯の失われた部位の顎の骨の中に、人工的な歯根を埋め込み、 その上に人工歯を取り付ける治療方法をいいます。
インプラントは人工歯根とも呼ばれ、天然歯に近い構造をもち、口の中の機能回複 と審美性を追求した新しい治療です。
顎の骨の中に金属(チタン)を埋め込みます
インプラントの特長
- 自分の歯のような自然な使用感
- 見た目が自分の歯とほとんど変わらない
- 噛む力が低下しない
- 周囲の歯に負担をかけない
治療の流れ
1)初診
- インプラント治療についての相談と説明
2)診査
- 病歴・健康状態の問診
- 口の中の診査
- レントゲン写真
3)診断
- 治療方針の決定と説明
4)手術
- 歯の根が顎の骨の中に埋っているように、専用の器具で顎の骨の中にインプラントを埋めるための孔を作ります
- インプラントの歯根部を骨の中に埋入して、歯肉でおおい保護しておきます
- 概ね3ヵ月後に埋っているインプラントの上をトリミングして支台部を取り付けます
近代的なインプラントが、出来たのは今から30年以上前になります。
私自身文献等で、流れをずっと見てきていましたが、上手く行かない時に感染を起こすのが大きな問題と考え、取り組みませんでした。
ところがここ数年で素晴らしいインプラントが開発されました。
当院で使用しているものは表面をスポンジ状に加工してある物で、本体が以前の物よりずっと小さくでも十分な維持力があり、その上何か問題が有れば人体に影響を与える事無く脱落してくれるまさしく天然の歯に取って代わることの出来る素晴らしい物です。
まだまだご本人の骨の状態、全身状態等慎重に取り組まないといけませんが、最大10年の臨床データーで、95%の成功率を示しており、上手く行かない5%も初めの1年以内にトラブルが出ていますので、1年機能しているインプラントの全てが身体の一部として10年機能しています。(日本大学歯学部のデーター)
現在アメリカではごく当り前の診療になっておりますので、今後日本でも普及して行くと思います。出来れば前もってCTを取って骨の内部の状態を調べておいた方が良かったり難しい部分も有りますので、詳しくは直接ご相談下さい。
治療の方法 ~ 顎関節症について
かみ合わせに不具合(ズレ)があると、顎の関節や顎を動かす筋肉に負担をかけてしまいます 。それによって、肩が異常にこったり倦怠感、頭痛などの様々な症状が現れます。
かみ合わせは歯科医でなくては直すことの出来無い事ですから、200年以上も前から世界中で色々な研究がされて来ましたが、色々な学説が乱立した上に各々が難解な迷路にはまり込んで行き混乱して来た歴史があります。そのためほとんどの歯科医はどれが正しいのか難解で迷ってしまっているのが現状です。
約30年前に現岡山大学名誉教授の山下敦と、アメリカシアトルのジャンケルソンが提唱した理論は画期的な物で、一部ですが優秀な歯科医に長い間支持されて来たものです。
現在部分的に健康保険にも適用され、当院でも長期の予後が良好ですので、積極的に勧 めております。義歯の安定、歯周病の改善、肩こり、頭痛から、背骨の湾曲、手足のしびれ、歩行のゆれ等今迄原因不明だった色々な病態が、改善されています。
正常な
かみ合わせ
下の顎が左にずれた位置で
かみ合っている
関節が伸びている 縮んでいる
筋肉が引っ張られる
左側の筋肉は縮み右側の筋肉は引っ張られた状態になっているため、右側の肩がこったり頭痛が起きたり、口を開けると関節がガクンと音を立てたりします。
平面的な図で示しましたが、同様のことが左右だけではなく前後、上下の顎の動きにおいて立体的なズレとして起こっています。
治療法
正確なかみ合わせの位置を決めるために、マイオモニターと 呼ばれる筋肉をリラックスさせる機械を使い、ご本人の左右 の咀嚼筋に最も適したかみ合わせの位置を見つけます。
その位置で噛めるように作成したマウスピースのような物(スプリント)をなるべく長時間使っていただき、経過を見ます。(1ヶ月から最長1年半)
かみ合わせの観点から見ると間違っている位置でも、長期に渡って生体がその位置で習慣的に適用してきていますので、慎重に経過を見てスプリントでの位置が患者さんにとって良好である事を確認してからは、スプリントが無くてもその位置で噛めるようにかみ合せを調整して行きます。
顎関節症とまで行かなくても潜在的にかみ合わせに問題がある患者様は実はとても多くいらっしゃいます。治して行くと明るい表情でしっかり左右で物が食べれるようになったと、おっしゃって頂ける事が我々の大きな喜びです。多くの患者さまが美味しく色々な食事が取れるようになる事が我々の使命と考えております。
保険で出来るものと自費のものとの違い
現在保険診療でかなり多くの処置が認められております。
しかしながらネックレスやイヤリング、ピアスが金合金や陶材であるのが当然であるように、本来口の中に入れて24時間、365日唾液に接している金属は金合金やチタン、セラミックのように百年経っても千年経っても変質せずに安定しているものでなくてはいけません。
口の中は約0℃から65℃位までの大きな温度差と酸性やアルカリ性の変化があります。歯がそのたびにわずかに膨張、収縮する事を考えると歯にかぶせたりつめたりする金属の熱膨張が歯のそれと食い違っているとだんだんに隙間が出来て取れてしまったり、隙間から唾液やばい菌が入って歯の中を悪くしてしまう事が考えられます。
理想的には加工しやすく、何年経っても組織が安定していて変質せず、口の中で少しの酸やアルカリで溶け出さず、また、溶けたとしても人体に無害である事、歯にピッタリ合う合金で、熱の膨張係数が歯と同じで、硬さも歯と同じか少しやわらかいものがよいということになります。
何故やわらかい方が良いかと言うと、噛んでいるうちにやわらかければ削った歯にさらにくい込んでゆき、ますます歯と一体化するからです。それらのことから多くの研究者が実験を重ねてみると、合金では金、歯と同じ白いものではセラミックが圧倒的によいことがわかっています。アメリカでは、埋伏している親知らずを一本抜くと15万円と言われています。しかしながら日本の場合、保険診療で保険組合から振り込まれる分を加えても1万円です。日本においては、医師の側がどうしたらなるべく安くて良質な治療が出来るのかとても努力して診療を行っているのが現実です。保険診療で、最小限ほとんどすべての事がやれますが、患者さんに“具合がいいし、長持ちしている”と喜んでいただきたいので、金属はすべて金を使った治療をしたいというのが本音であります。
当医院では保険外治療の費用を、技工所との話し合いのもと、最もよいものを使った上で20%から40%も低い金額に設定してあります。
一般的な大学病院 | むらせ歯科医院 | ||
前歯のメタルボンドセラミック | 10万円 | 7万5千円 | |
メタルコア | 2万円 | 1万円 | |
金属床義歯 | 23万円 | 18万円 | |
インプラント | 30万円~50万円 | 25万円 |
保険外診療は、歯科医院のためにお金を払うのではなく、ご自分自身のために使うお金であることをご理解ください。保険診療は、オーダーメイドで行われる基本的な診療がほどほどのものだとはいうものの、とても安価になっているのだということをご理解ください。
小さなお子さんをお持ちのお母さまへ
歯科医院では小さなお口の中でいろいろな器具を使います。大人でも自分が見えないところで、されるがまま、もしかしたら痛い目にあうかもしれないということに恐怖を感じるものです。
治療をする歯科医からみると、突然動いたり、お口をすぐ閉じてしまうお子さまは十分な治療をしてあげられず、診察しにくいものです。
どうかお子さまには、歯医者さんはあなたがいつもでも美味しいものをたべれるように大切なあなたの歯をきれいにしてくれる先生だと教えてあげてください。そしてきれいにしやすいように
●お口を大きく開けること
●動いたら危ないから痛いときは手を上にあげること
この2つを教えてあげてください。
乳歯から永久歯への移行について
3歳~5歳
6歳
第一大臼歯
初めて生える永久歯で、おおむね6歳になったときに生えるので6歳歯とも言います。前から数えて6番目の歯でもあります。
6歳~8歳
A・Bの脱落
1・2番の崩出
8歳~13歳
D・Eの脱落
4・5番の崩出
DEは永久歯の噛み合わせ(歯並び)に大きく影響しますので大切です
10歳~13歳
Cの脱落
3番の崩出
その後、7番8番(親知らず)が崩出、18歳~25歳ぐらいで永久歯列が完成します。